東大院 教育学 遠藤利彦先生が語る”「ぶつかり合い」の欠如から、感情の調節を学べない現代の若者たち”

学習支援塾ビーンズ
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本記事は、第二回「全世代に感情力を育む会」での東京大学大学院 教育学研究科教授の遠藤利彦先生の講演内容の記事化、第三弾です。

前回の記事では遠藤先生から恐れ回避型の若者が増えている背景として、幼少期から「ぶつかる経験」が失われている社会の現状をお話しいただきました。

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本記事では、近年、子ども~若者たちが、幼少期から「ぶつかる経験」が失われているきている現状と、それがもたらす課題について「ぶつかることを通して、感情力を学習する」というキーワードをもとにお話しいただきます。

目次

「やんちゃ遊び」が失われ、「手加減」がわからなくなる

遠藤教授

かつて我々の幼少期に当たり前にあったもの。
それはやんちゃ遊びです

これは「ラフ・アンド・タンブル・プレイ」といわれるのですが、

子ども同士の取っ組み合いなどは「子どもだから当たり前だ」と社会が許容していたんですね。

ところが今は、子ども同士が喧嘩すること、ぶつかり合うこと自体が悪いとされる風潮があるように思います。

ぶつかり合いの欠如と感情の調節能力

遠藤教授

ぶつかり合いの欠如は、根深い問題を引き起こしていると思います。


その問題とは何か。
それは感情の調節能力の学習を妨げていることです。

確かに、いじめは絶対にあってならない
ですが、喧嘩が全くなくなっていいのかというと、本当はなくなってはいけないのです。

子ども同士のやんちゃ遊びは絶対必要です。

人間は子どものころの同世代とのぶつかり合いの中で、「手加減」を学びます。

例えば、思わず力が入りすぎて相手を泣かせてしまった、怪我をさせてしまった――

幼い段階ではそういうことがあり、社会や親たちも、それを許容していました。

子どもたちは幼いころの、その感覚を覚えていて、そこで手加減や絶対にやってはいけないことを学ぶ…

ぶつかる経験を通して、他人との距離の取り方、関わり方を学んでいました。

しかし今、それがなくなってきています。

いじめはあってはいけないが、いじめを封じるために、表面的な「仲良し主義」が学校で蔓延しています。

親子関係でも、虐待は絶対にあってはいけないことです。

が、親子のぶつかり合いが全くなくなってしまっていいか…というと、それはそうではないのです。

親子であっても、互いにぶつかる中で、次のようなことを学びます。

・子どもは「親に対してどこまで言っていいか」を学びます。

・親もどこまでなら子どものセルフエスティームを保てるかを探ります。

そうして親子の関係ができていくのです。

「失敗の予行演習」なしで本番に放り込まれる若者たち

遠藤教授

ぶつかる経験が少なくなる中で、子ども達は学習機会を失います。

社会全体で、相手への思いやりや、自分がどこまで関われるかを学習する機会が減っています。

これは先進国はどこもそうだと言えます。

が、とりわけ日本では減っているようです。

ぶつかることを通し、人は感情力を学びます

濃密な感情の中に浸ってみないと、感情の調節の方法は学べないのです

しかしそれをやることは親御さんや学校の先生にとって怖い。リスクもあります。

感情の調節を学んでいない子どもを前に、結果として、大人たちは子どもが感情を暴発させないように腫れ物を触るような対応をしてしまうのです。

つまり、子どもは優しく対応されるのであまり感情を暴発させない…
…が、それが逆に、子どもたちが感情を調節する能力を学ぶ機会は失われていくのです。

遠藤教授

だからこそ、人間関係の摩擦に弱くなってしまいます。

「あのとき、どこまで力を入れても大丈夫だったか」という身体的な手加減の感覚がつかめないのと同じように…
「あの人に、どこまで本音を言って大丈夫か」という人間関係の距離感がわからないまま
言ってみれば失敗の予行演習なしに、社会という本番に放り込まれてしまうのです。

そして、それは子どもたちが正当に怒ることの学習の機会も奪うのです

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この記事を書いた人

長澤 啓のアバター 長澤 啓 ワカサポ編集長/悩める20代社員育成の専門家

長澤 啓(Nagasawa Kei)|Z世代・不登校支援の専門家
東京大学経済学部卒。一児の父。大学生時代からの現場経験を元に、不登校や勉強嫌いに悩む10代のサポート手法「ビーンズメソッド」を体系化。自身も親との衝突に悩んだ原体験から、保護者支援にも注力している。現在は全国の教育委員会や上場企業にて、若手育成や教育をテーマにした講演・研修に多数登壇。現場主義の視点から、次世代の「生きる力」を育むヒントを発信中。

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