「ビーンズメソッド」の4階構造の中でも、特に重要なのが3階の青春経験です。
私がまだ大学1年生か2年生で、ビーンズのルーキー講師だった頃。
当時、私は受験生をメインにサポート
していました。
ところが……。
不登校を経て、いよいよ「受験するか」となったお子さまが、ずーーっと勉強しないのです。
高校3年生で、もう秋口。
なのに、志望校を全然選ぼうとしない。
その頃の私は「進路×受験過激派」
でした(笑)。
「自分のやりたいことのために、進路をしっかり考えよう」
「俺がしっかり伴走するから、絶対志望校合格しよう」
「これはサポートしなきゃ!」
と一人で息巻いて、
「勉強のやり方教えるよ」
「行きたい大学や学部を一緒に考えよう!」
と、熱意だけでグイグイと
強く言っていたのです。
けれど、その男の子があるとき、泣きながらこう言いました。
「先生、友達が欲しいんです」
共通テストまであと数ヶ月、
というタイミングです。
「友達って……いや、本番まであと2ヶ月なのだけれど……」
正直、戸惑いました。でも、そこでハッと気づかされたのです。
「この子が、いや、人間が明るく挑戦し、努力するためには、青春経験 が必要なんだ」
青春経験を得ることで、子どもたちはこんな「自信と予感」を抱けるようになります。
- 青春を楽しめたということは、将来も楽しいはず
- 自分は社会に出ても、また仲間を作れるはず
- 仲間と挑戦して一緒に結果を出せるはず
- 自分は社会に出ても、仲間から助けてもらえるし、自分も誰かを助けられるはず
この「社会への前向きな予感」があってこそ、子どもたちはようやく自分の進路を「自分事」として考え、努力できるようになるのです。
逆に青春経験がないと、
- 将来も楽しいことなんてない
- 自分は誰からも助けてもらえない
という孤独な予感に支配されてしまいます。
「人間は青春経験がないと、明るく努力はできない。受験に向かうエネルギーも湧かない……そりゃそうだよね!」
私はその時、ようやく肚落ちしたのです。
ちなみに、この時の男の子はもう立派な社会人。
今でもよくビーンズに来てくれますが、なんと今の僕より稼いでいます……!(笑)
「4階構造」の詳しい解説や教育方針の全体像、一段ずつ階段を上っていくことの大切さをより深く知りたい方はこちらをご覧ください。

受験で後伸びする子が経験する「2つの青春」
ビーンズでは、青春経験にも二種類あると考えています。
それが、「ゆるい青春」と「あつい青春」です。
1. ゆるい青春: 心のガソリンを満たす時間
先ほどの高3の男の子。
受験本番まであと1、2ヶ月という時期に彼が何をやっていたかというと……「ダベり」です。
友達と、本当にダラダラと遊んでいました。
当時の未熟だった私は「もう受験生なのに!」「無意味な時間を過ごして!」とイライラしてしまったのですが、これは大きな反省点です。
そもそも、18歳とか19歳の社会経験も、インターンももしかするとアルバイトも経験のない子ども達に「進路を決めろ!」「その決めた進路に向けて努力しろ」ということがかなり無理筋なことをさせているのです。
彼にとっては、次のステップに進むために絶対に必要な時間だったのです。

ゆるくて浅い青春
放課後に仲間と集まって談笑する
ような時間です。
もしお子さまが、高い塾代を払っているのに友達と喋ってばかりで勉強しない…という状況があっても、どうか大目に見てあげてほしいのです。
それは、心が動き出すために必要な「充電」の時間かもしれません。
ゆるくて深い青春
修学旅行の夜のように、本音や深い悩みを語り合う時間です。
「将来が不安」「実は親に反対されていて……」 何かに挑戦しているわけではありませんが、深い自己開示をし合う非常に重要な時間です。
例の男の子は、受験直前に友人と成田空港へ行き、無料で過ごせる場所で徹夜で語り合ったそうです。
「進路が決まらない」
「長澤の指導が厳しい(笑)」
そんな対話が、彼の心を支えていたのです。

2. あつい青春:仲間と「マンモス」を狩りに行く
次に、「あつい青春」。
これは、自分一人では達成できない高い目標に、仲間と一緒に熱く
チャレンジするイメージです。
ビーンズではこれを「マンモス狩り」と呼んでいます。

大きな目標に向かって、同世代と一緒にチャレンジする。
それは受験でなくても、文化祭の準備でも何でもいい。
この「ゆるい青春」と「あつい青春」の両方を経験して初めて、子どもたちの心には、
という気持ちがやっと湧いてくるのです。

青春しきった子は、受験にも強い
少し話は逸れますが、私の東大時代の友人の話をさせてください。
「東大生は青春を犠牲にして勉強漬けだった人たち」と思われがちですが、実は半分間違いです。
私の周りの東大生たちは、みんな高校3年生まで青春し尽くしていました。
開成や麻布といった進学校の高校生たちは、受験直前まで命がけで体育祭や文化祭に
魂を込めています。
冷静に考えれば、その時間を勉強に充てた方が合格率は上がるはず。
でも、彼らはそれをしない。
学校も戦略的に「青春」をさせている
節があります。
現場に立ってきた経験から断言できるのは、「青春しきった子は、その後の受験でも爆伸びする」ということです。
正しい勉強法も大切ですが、それ以上に青春経験の蓄積こそが、困難を乗り越えるための最強のガソリン(変数)になるのです。
今、お子さまが勉強に向かえず、一見「無駄」に見える時間を過ごしていたとしても、どうか焦らないでください。
それは、将来お子さまが大きく羽ばたくための、大切な根っこを育てている時間なのかもしれません。

