【決定版】Z世代社員を離職に追い込む3つの「痛み」

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目次

はじめに

こんにちは。Z世代社員育成の専門家、長澤です。

私は、働くうえで人が抱える心理的な苦痛を、シンプルに「痛み」と呼んでいます。

  • 長時間労働で体力も気力もすり減らしたときのしんどさ
  • ノルマ未達の焦り
  • 上司からの叱責による落ち込み

――こうした感情の総体を「痛み」と総称しています。
この「痛み」がひどくなると、社員はパフォーマンスを落としたり、最悪の場合は休職・離職に至ったります。

とりわけZ世代社員は、この痛みに敏感です。
今回の記事では、彼らを深刻な状態へと追い込んでしまう「痛み3要素」について整理してみたいと思います。

対策の具体論はまた別の記事で扱いますが、まずは「Z世代社員がどのような痛みを感じやすいのか」を体系的に理解していただければ、自社内での支援のイメージも描きやすくなるはずです。

細かい話も出てきますが、上司の立場にある方にお願いしたいのは、
とりあえず「孤独感・無力感・やらされ感」というフレーズを頭に叩き込んでおいてほしい、ということです。

痛み3要素とは

Z世代社員を深刻に追い込む要因は実に様々です。

ただし、大きくまとめると3つの要素に整理できます。

それが

孤独感 ・ 無力感 ・ やらされ感

です。

※もちろん、「痛み3要素」でパワーダウンしてしまうのは、全世代共通だと思います。ただ、こちらのシリーズ記事でも解説している構造もあって、Z世代は上の世代よりも痛み3要素でパワーダウンしてしまう構造があると考えています。

さらに掘り下げれば上記の3要素を頂点とした
4階層・25種類
に細分化できるのですが……(下図)

今回は最上位の3つの要素(痛み3要素)に絞って解説します。

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(東大の院で経営・雇用などについて研究していたリサーチ・データ分析のプロであるメンバーとより深く探究しておりますので、さらにブラッシュアップされる予定です)

なお、4階層25種類の全容については研修やコンサルティングなどでお伝えしております(文字だけでお伝えしてもあまり意味がないので……)

重要なのは、この3つが重なったり、あるいは1つだけでも深刻に感じてしまうと、
社員は一気にエネルギーを失い、
離職などにつながるということです。

なお、どの要素が一番効いてしまうかは人によって異なります。

たとえば、起業家気質の人は孤独にはある程度耐えられるけれど、「やらされ感」を少しでも抱くと急激にパワーダウンすることがあります。
一方で、一見主体性がないように見えるタイプのZ世代社員は、実は「孤独感」に対して非常に敏感だったりするのです。
(なお誰から指示されたわけでもないのに、わざわざ私の記事を読んでいらっしゃる読者の皆様は、「やらされ感」を最も嫌うタイプなのではないかと推測しております)

孤独感

特にデリケートなZ世代社員にとって、もっとも強烈なダメージを与えるのが孤独感です。

ここで言う「孤独」は、単純に「一人でさみしい」という意味ではありません。

  • 困ったときに誰も助けてくれない感覚(助けられ感不足)
  • 一緒にやっている実感が持てない(協同作業感不足)
  • 自分の負担だけ重いと感じる(負担格差感)

といった要素をすべて含んでいます。
(なお上記の例は孤独感を構成するごく一部に過ぎません)

なお、Z世代社員に関しては特に「同世代(同期)への劣等感」が強い影響を及ぼします。

このあたりは次回の記事で詳しく掘り下げますが、
上司世代の想像以上に彼らは同世代との比較に敏感であり、
それが孤独感の増幅につながっているのです。

無力感

次に無力感。
これは「自分の頑張りが意味を持たない」と思えてしまうときの痛みです。

典型例としては「成果が見えないことによる徒労感」があります。
「この努力は一体なんのためなんだろう」と感じてしまう状況です。

また、目標が大きすぎたり曖昧だったりして、「どこから手をつければいいのかわからない」と途方に暮れるのも無力感の一部です。
こうした状況に置かれると、社員は次第に力を失い、「やっても意味がない」と心のブレーキをかけてしまいます。

やらされ感

三つ目はやらされ感です。これは「自分の意志や納得感が伴わないまま業務を押し付けられている」と感じるときの痛みです。
やらされ感も、細かく分けるとさらに多くの種類があります。

やらされ感のみ、第4階層まで分類した図を公開しておりますので(下図)、ぜひそちらを見ていただきたいと思います。

(今回は記事内では割愛します)

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具体的な事例

ここで、実際に私が見聞きしたケースを紹介します。
某大企業で働くZ世代社員Aさんの例です。
(ここまで3つの要素が揃ってしまうケースは珍しいですが、逆に言えば「教科書的な失敗例」として多くを学べる事例かと思い、紹介しました)

上司はAさんを信頼し、大きな仕事を任せました。
「Aさんなら一人でもやれるだろう」と考え、ほとんど丸投げに近い形で。

さらに、多忙だった上司は、「こんな状況になったら相談して欲しい」といった指示も伝えず、
定期的なミーティングの設定もせず、
Aさんは孤立したまま業務を進めざるを得なくなりました。

ここでまず、強い孤独感が生まれます。
さらに、仕事の期間や具体的なタスクの説明がなく、Aさんは
「どうやればいいのか・いつまでやればいいのかがわからない不明瞭な仕事に取り組むのか……」
という無力感に直面します。

上司は
「この仕事は部署全体にとって重要であり、会社の理念にもつながる」
と説明しており、Aさんもそのことは深く理解していました。

ただ……
「他にもやらねばならないことがあるのに、なぜ今なのか」「なぜ自分なのか」
という疑問には答えていませんでした。

そのため、Aさんの心には「やらされ感」が積もっていきました。
結果的に、Aさんは休職を経て最終的に離職に至ります。

さいごに

ここまで述べてきたように、Z世代社員を追い詰める痛みの代表例は「孤独感・無力感・やらされ感」です。

ぜひ、このフレーズを常に頭の片隅に置いていただきたいと思います。
目の前の社員が「痛み3要素のどれかを強く感じてはいないか」とセルフチェックするだけで、相当数のパワーダウンを防げるはずだからです。

もちろん、
予防やケアの方法はコミュニケーション手法から制度設計まで幅広くあります。

これについては今後の記事で紹介していきます。
ただ、次回は一歩踏み込み、「孤独感」の中でも特に重要な「同世代への劣等感」を深掘りします。

👇次回の記事

このテーマを理解することで、解決策の精度もぐっと高まっていくでしょう。

そして、次々回、「制度面で割と簡単に実装できる痛み3要素対策」について紹介していければと思います。

また、Z世代社員の離職防止や活躍に向けた各種サービス(研修・コンサルティング)も提供しておりますので、下記資料の下の問い合わせフォームから是非お声がけくださいませ。

また、読者アンケートにも協力いただけると幸いです!
(回答時間目安3分)

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この記事を書いた人

長澤 啓のアバター 長澤 啓 ワカサポ編集長/悩める20代社員育成の専門家
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