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長澤啓(Nagasawa kei)
東京大学経済学部卒。1997年生まれ。
大企業・大企業の組合幹部向けの研修(ダイジェスト動画)・コンサルティングで、「Z世代社員の定着と活躍」のコツについてお伝えしている。長澤の取り組みについて詳しくはコチラ。
不登校支援専門塾である「学習支援塾ビーンズ」の塾長/副代表も務める。
前回、前々回の記事で、Z世代の社員が離職を考えるほどに抱え込んでしまう「痛み」の正体についてお話ししました。
最初は、孤独感、無力感、やらされ感という「痛み3要素」の全体像を解説し……👇

続いて、同世代と比べてしまうことから生じる「VALSコンプレックス」という、特にZ世代に特有の痛みについて深掘りしました。👇

さて……
記事を読んでくださった企業の人事担当者の方々から、
「制度面での具体的な対策を教えてほしい」
という切実なご意見をアンケートを通してたくさんいただきました。
Z世代社員への対応について、緊急性の高い課題として捉えている方が多いようですね。
そこで今回は、現場ですぐにでも取り入れられる、Z世代社員の痛みを予防する具体的な方法をご紹介します。
これは、たくさんの予防法の中でも、特に手軽に始められる「ワクチン」というソリューションです。
なぜ「ワクチン」なのか?
この記事を読み進めていくうちに、「ああ、なるほど。だからワクチンなのか」と腑に落ちるはずです。
まず、一般的にワクチンは、病気になる前に接種して、感染や重症化を防ぐためのものですよね。そして、ときには副反応が生じることもあります。
これからご紹介するソリューションも、まさにこれと同じような効果と影響があります。
ここでいう「ワクチン」とは、
Z世代社員が陥りがちな「痛み」と、それに伴う「正論」を文字にした資料
のこと。
そして、この資料を読んでもらうことを、私たちは「ワクチン接種」と呼んでいます。
「え、それだけ?」と思われるかもしれませんが、「それだけ」だからこそ、すぐにでも始められる効果的な育成制度なんです。シンプルに見えて、その効果は侮れません。
ワクチンの4つの効果
効果①:痛みの発生・重篤化を防ぐ
一般的なワクチンと同様に、痛みの予防や、万一発生したときの重症化を防ぐ効果があります。
Z世代の社員は、同世代と深い繋がりを築けていないケースが多いため、痛みを抱えたときに、
「これは自分だけの悩みだ……もうどうしようもない」
と孤立しがちです。
他の社員も同じような痛みを感じていることが多いのに、「自分だけが苦しんでいる」というバイアスにかかってしまうのです。
もしも同世代と自由に悩みを打ち明け合える関係性があれば、
「なんだ、自分だけじゃなかったんだ」
と気づくことができます。
しかし、悩みを抱えているZ世代社員は、同世代との深い繋がりをリスクだと感じてしまうため、なかなかそうはいきません。
(このあたりの構造的な理由については👇をご覧ください)

だからこそ、あらかじめワクチンという形で、
「こんなタイミングでこんな痛みが起こるかもしれないよ」
「でも、それはあなただけの痛みじゃないから大丈夫」
と伝えておくことが重要です。
そうすれば、実際に痛みが起きたときに、
「ああ、これはワクチンで予習した通りだ。自分だけの問題じゃないから、深く思い悩む必要はないな」
と冷静に捉えることができるのです。
効果②:コミュニケーションの密度が上がる
痛みを感じたとき、人は自分の気持ちを言葉にするのに時間がかかります。
上司が「どうしたの?」と声をかけても、なかなか痛みの正体をうまく言語化できず、お互いにストレスを感じてしまいます。
せっかくの面談時間が、何に苦しんでいるのかを解明するだけで終わってしまい、肝心な対策に時間を割けない、なんてことも少なくありません。
しかし、ワクチンで痛みを事前に定義しておけば、当事者であるZ世代社員も、上司も、痛みの共有から本質的な話へとすぐに移行できます。
面談の際に、「ワクチンに書いてあった『〇〇の痛み』を感じているんです」と伝えられるので、コミュニケーションの密度が格段に上がり、より深い対話が可能になります。
効果③:同世代との相互理解を促進する
ワクチン接種は、飲み会やレクリエーションよりも、同期同士の相互理解を深めるのに役立ちます。
詳しくは後述しますが、ワクチン接種で特に重要なのが「集団接種」です。
同期のグループで一緒にワクチン(資料)を読み合わせ、その内容について感想をシェアする場を設けるのです。
このような場は、
「実は、私も〇〇で悩んでて……」とか、
「友人にワクチンに書いてあるような痛みを抱えている人がいて……」
といった普段なら話しにくい自己開示を引き出すきっかけになります。
効果④:傷つけずに「正論」を伝えられる
成長には、ときに厳しいフィードバック、つまり「正論」が必要です。
しかし、悩めるZ世代社員は「かすり傷が致命傷になる」こともあります。
詳しくは👇の記事をご覧ください。

そこでワクチンが活躍します。
ワクチンは、
「こんな痛み、あるよね。わかるよ」という共感のメッセージと合わせて、
「でも、自分や他人のためにも、〇〇な行動は頑張ろう」という強く背中を押す「正論」を伝えることができます。
例えば、
「上司や同期へのチャットに返信することってストレスに感じることもあるけど、返信しないと自分も周りももっとしんどくなるから、頑張って返信しようね」
といった形で、共感を示しつつ、改善を促すのです。
この伝え方が効果的な理由は2つあります。
1つ目は、「やらかす前」に伝えられるからです。
やらかした後に「チャットはすぐ返信しなきゃ!」と言われると、「信頼を傷つけた」という事実に加え、
「大人に怒られた」というダブルパンチを食らい、立ち直れなくなってしまいます。
一方、ワクチンは「やらかす前」に接種するため、怒られている感覚がありません。
2つ目は、「人」ではなく「資料」から伝えられるからです。
ワクチンはあくまで文字の資料です。
「他でもない自分が怒られている」という感覚が薄いため、人に直接言われるよりも痛みが少ないのです。
ワクチンの限界と注意点
ワクチンは万能なソリューションではありません。限界と注意点を理解しておくことが重要です。
ワクチンだけで痛みが根治することはない
一般的なワクチンが健康を増進するわけではないように、Z世代社員向けのワクチンも、痛みの根本原因をなくすものではありません。
痛みの原因となる「自己閉塞性」(詳しくは👇の記事をご覧ください)を改善するには、より本質的で時間のかかる制度や風土づくりが必要です。

この点については、後日改めて記事や研修でお話しする予定です。
「副反応」が生じることがある
ワクチンに書かれている内容は、悩めるZ世代社員にとって耳障りの良いことばかりではありません。
ごく稀に、後になって「ワクチンに書いてあった内容がしんどい……」と感じてしまう人もいます。表現には最大限の配慮が必要となります。
成長段階に合わせて「強度」を上げる必要がある
「強度」とは、正論の厳しさのことです。
入社したばかりの社員には緩めのワクチンを、リーダーや後輩を持つようになった社員には強めのワクチンを……
というように、成長に合わせて内容を調整することが大切です。
ワクチン接種の鉄則と表現の原則
接種の鉄則
1. 必ず「文字資料」
口頭のみだと、説教されていると感じさせてしまうことがあります。あくまで文字の資料として渡しましょう。
2. 必ず「集団接種」
1対1の面談で接種すると、「自分だけがお説教されている」と感じてしまう可能性があります。同期全員で集団接種することで、前述の「同世代間の相互理解促進」という効果も狙えます。
3. 必ず「事前接種」
痛みが発生してからでは効果が薄れてしまいます。痛みが起こる前に接種しておくことが重要です。
表現の原則
1. やわらかく、抜け感のある表現
「全社員が守るべき鉄の掟」のような雰囲気は避けましょう。やわらかい敬語を使ったり、「~ですよね」のような砕けた表現を取り入れるのがおすすめです。
2. 断定口調は避ける
プライドが高い悩めるZ世代社員(特に、評価獲得行動をとるZ世代社員)は、断定的な表現に「決めつけられた!」と反発することがあります。「~な人が多いようです」「~なのかもしれませんね」といった表現で、一方的な印象をなくしましょう。
3. Z世代社員の痛みに共感する
「気持ちはよくわかります」「筆者である私もそうですが…」といった言葉で、上から目線ではないことを伝えましょう。
4. 共感しつつ、伝えるべきことは強く伝える
共感するだけでは前に進めません。「気持ちはわかりますが、大事なことなので一緒に頑張りましょう」と、行動変容を促すメッセージもしっかりと伝えることが大切です。
ワクチンの具体例
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
最後に、実際に運用されているワクチンの一例を特別に公開します。これは、入社してすぐに接種する、強度が最も低いワクチンです。
若手へのワクチンシリーズとは
本資料から始まる、若手の皆さんへの一連のメッセージを「若手へのワクチンシリーズ」といいます。
一般的に、「ワクチン」とは、何かしらの感染症が重篤化することを予防するために接種するものです。
そしてこの「若手へのワクチンシリーズ」も同じように、チームに入った若手のみなさんが陥りがちな悩みや不安やストレス(※)が過度に悪化することを防ぐために作成されたものです。
※
若手がチームで過ごす中で感じる悩みや不安やストレスをワクチンシリーズでは、シンプルに「痛み」と呼称します。
若手へのワクチンシリーズの効果
乱暴に聞こえるかもしれませんが、若手の皆さんが感じる痛みは基本同じであり、対応法もあります。
しかし、痛みが発生すると皆さんの心の中に以下の3つの思いがどうしても生じてしまいます。
- この痛みはきっと自分だけのものに違いないから相談したところで意味がない
- 痛みがあることを誰かに相談したいけど、信頼できる人がチーム内にいない
- あまりに痛くて、どうしたらいいのか分からない
そして、この3つの思いにより、痛みがどんどん悪化し、最悪のケースだと突如としてチームから去る決断に至ったり、心が潰れてしまったりすることがあります。
しかし、若手へのワクチンを接種することで、痛みが生じても、「あ、これは皆が経験する痛みだから過度に心配する必要はないな」「この痛みが出たってことは、こうすればいいんだな」とある程度は落ち着くことができます。
そして、痛みが過度に悪化することを防ぐことができます。
これこそが「若手へのワクチンシリーズ」の効果です。
注意点(薬の説明書みたいなもの)
皆さんにワクチンを接種する前に、3つほど注意点があります。
効果は限定的です
ワクチンとは健康に暮らすために接種するものです。しかし、本当の意味で健康に暮らすためには日々の生活習慣が最も重要です。
若手へのワクチンシリーズも同じです。痛みが過度に悪化することを防ぐ効果しかありません。みなさんの痛みを本質的に和らげるものは、チームの中での様々な「2つの青春経験」(いずれ説明します)の蓄積です。
接種時と接種後に痛みが発生することがあります
ワクチンですから、接種時(つまり、若手へのワクチンシリーズの内容を伝えられる際)には少しだけ痛みが生じるかもしれません。
また、接種後にも痛み(副反応)が発生することがあります。
具体的には、「今の自分にはちょっとそのメッセージは受け入れられない……」「過去の嫌な思い出がフラッシュバックして辛い……」といった痛みです。
その場合は、すぐにチーム内の一番話しかけやすい人にSOSを出してください。
また、同じタイミングでワクチン接種した人と後日、「ぶっちゃけ、~~の部分が自分にはしんどかった」というような感想会を開いてもいいでしょう。
また、痛みを強く感じる場合、あなたは「人の痛みにとても共感できる」という才能があります。
お願いになってしまうのですが、そんなあなたには、後輩たちにワクチンを接種する側にいずれなって欲しいのです!
痛みを深く理解できるからこそ、相手の痛みに配慮したワクチンの接種ができます。
すごく先になってしまうかもしれませんが、その際はどうかよろしくおねがいします!
もちろん、何の痛みも感じない場合もあります。
その場合は、「なるほど、こんな悩みを持っている同世代(あなたの将来の仲間)もいるんだな じゃあ、自分は~~なサポートができるかもな」といったぼんやり考えてもらえると嬉しいです!
段階によって接種するワクチンが変わります
皆さんの個々人の性格や、時間の経過とともに変化する皆さんのポジションに応じて、皆さんが感じる痛みは変わります。
ですので、段階に応じて別のワクチンを接種することになります。ご承知おきください。
「根源的恐怖」とは ~前提として理解したいこと~
私たちは他人やチームと深く関わり、良い関係性を築くことで初めてハッピーになれます。
じゃあだからといって、「他人やチームと深く関わろうぜ!」って言われても、
「そんなことできないよ……」
となりますよね。
また、私たちの頭の中では以下のようなビクビクが渦巻いています。
もちろん、個人差はありますが……
- 他人と自分を過剰に比較してしまいビクビクする……
- 他人から嫌われていないか気になってビクビクする…….
- チームに迷惑をかけていないか気になってビクビクする……
残念なのが、このようなビクビクが過剰に発動してしまうと、逆に他人と深く関われなかったり、チームから自分のありのままを受け止めてもらえなかったりすることです。
もっと残念なのが、ビクビクすることで自分の心が疲れてしまい、日々の幸福度がだだ下がりしてしまうことです……
そして、いっっっちばん面倒なのが、
ビクビクしない方が他人からもチームからも自分を愛してもらえるし、何より自分も幸せに日々を送れるのに、それでもビクビクしてしまうこと!
これぞまさにままならなさですね!(※)
※
「ままならなさ」についてはコチラの記事をご覧ください
このままならなさを今すぐは解決はできなくても、まずは「みつめる」ところから始めてみましょう。
では、「他人やチームへのビクビク」の根っこは何なのでしょうか。
結論から言うと、
環境(他人やチーム)から
「捨てられる」ことへの
根源的恐怖
であると考えています。
「捨てられる」とやや刺激的な言葉を使ってしまいましたが……
すごく抽象的に説明すると、人やチームから嫌われ、まるで「物」のように捨てられることへの根源的な恐怖が、ビクビクを生み出すのであると考えています。(※)
※注
詳しい解説はコチラの記事をご覧ください
そして、ビクビクすることで、
- 他人との関わりを過剰に避けるようになったり……
- ちょっとでも目立つような行動を過剰に避けるようになったり……
- 恐怖ベースで、人から評価されるような行動を過剰にとるようになったり……
(例:学歴とか肩書とかを過剰に求める・自分が傷つくまで過剰に活動しようとしてみる)
といった行動をとるようになってしまいます。
そして、そんな行動をとってしまうからこそ、逆に他人やチームと深く関わることができなくなり、さらに根源的恐怖が強まる……
なんて悪循環に陥ってしまいます……
さて、ワクチンシリーズでは若手の皆さんが陥りがちな様々な「痛み」について解説していくのですが、その痛みは全てこの根源的恐怖に起因するものであるということをご理解ください!
そして、最初のステップとして、(筆者である私含めて)皆さんの心の中に存在する「環境から捨てられることへの根源的恐怖」を見つめてみることから始めましょう。
同世代との過剰な比較
若手の皆さんがまず陥る代表的なままならなさは、「同世代との過剰な比較」です
言うまでもありませんが、過剰な比較は百害あって一利なしです。
まあでも、比較なんかしない方がいいのは分かっているけど、できませんよねえ……
私もそうです。
ワクチンシリーズの目的はあくまで症状が重篤化することを防ぐことなので、根本的な解決はできません。
しかし、本章を読めば「過剰な比較」に陥ってしまうことはある程度は防げるとは思います!
是非ご覧ください。
比較の対象となる同世代だって実は「愛すべきポンコツ」だ
ビーンズを例にとると、入ったばかりのインターン・CAの方々は、
- 私はメンターのあの人みたいに上手く授業できない……
- 私よりも早く研修を終えて、現場に立っている……
- 同期の~~さんと比べて、役職にもついてないし、ビーンズにも深くコミットできてない……
といった比較に苦しみます。それも、ほぼ例外なく(笑)
ただ、あなたが比較対象にしているメンターも入ったばかりの頃は、本当に右も左も分からない状態で、あなたと同じような比較に苦しんでいました。
周りの同世代たちも、あなたと同じように比較に苦しんでいます。
外面からはなかなか窺い知れませんが、あなたの周りの同世代は「愛すべきポンコツ」なのです。
VALSコンプレックス ~代表的な「比較」~

突然ですが、若手の皆さんが同世代と自分を過剰に比較し、コンプレックス・劣等感を感じてしまうポイントはほぼ共通してます(笑)
そのあるあるな比較ポイントを「VALS(ヴァルス)コンプレックス」としてまとめました。
VALSとは以下の頭文字です。
Visionary(ビジョナリーな同世代):夢ややりたいことがある同世代
Active(アクティブな同世代):行動力がある同世代
Logical(ロジカルな同世代):論理的な思考や説明ができる同世代
Skillful(スキルフルな同世代):何かしらのスキルに秀でている同世代
なお、あなただけではなく、他の同世代も周りに対してVALSコンプレックスを感じていることを是非ご理解ください!
※若手の皆さんと話していると、「AさんとBさんがお互いに同じコンプレックスを感じている」なんてことはザラにあります(笑)
チームの中に入ると、皆さんはきっと、
- 私はあの人みたいにやりたいことや夢がない……(ビジョナリーコンプレックス)
- 私はあの人みたいに行動できない……(アクティブコンプレックス)
- 私はあの人みたいに賢くない……(ロジカルコンプレックス)
- 私はあの人みたいに~~なスキルがない…….(スキルフルコンプレックス)
と思われることでしょう。
しかし、何度だって言いますが、VALSコンプレックスは誰だって一度は陥るのであんまり気にし過ぎないようにしましょう(笑)
迷惑バイアス

チームに入ったばかりの若手の皆さんと話すと、多くの人たちがこう言います。
- 私はチームにとっていらない存在なんじゃないか……
- 私はチームや周りの人に迷惑をかけているんじゃないか……
そもそも、チームに入ったばかりなのであれば、「迷惑かけてなんぼ」の存在です。
また、多くの場合、チームや周りの人に迷惑をかけていることはありません。
チームにとってなくてはならない存在であるとまではいかなくても、「チームに居続けてもらった方が圧倒的に助かる」存在であることが多いです。
にも関わらず、私(筆者)は多くの若手社員皆さんが、
私は周りに迷惑をかけている(orかけることになる)ので
このチームを抜けさせてもらいます
無能で何事にも本気になれない自分がこのチームにいたら
優秀で熱い他のメンバーのみなさんに迷惑なので、抜けさせてもらいます
と伝えてチームを抜ける光景に何度も出くわしてきました。
もしもチームがあなたを手塩にかけて育ててきたのであれば、あなたに抜けられることが一番迷惑っちゃ迷惑な行為です(笑)
「自分がチームにいるのは周りに迷惑だからやめる」というのは一見すると相手に配慮したメッセージに見えますが、「チームのことを気遣っている風を装った、自分本位なメッセージ」ということにもなりますよね……
であれば、「チームのことを気遣っている風」なんて装わずに、正直に自分本位の理由を伝えてもいいんじゃないでしょうか???
もし、「このチームにいたら、すごく劣等感を感じる」「人間関係がしんどい」「なんかよくわからないけど、とりあえずしんどい」といった理由であれば、親身に相談にのってくれるはずです。
万が一、どう考えても今のチームの環境があなたにフィットしてないのであれば、優しく送り出してくれるはずです。
また、「自分には別にやりたいことがある!」といった理由でも、親身に相談にのってくれるはずですし、次のチャレンジに向けて、力強く背中を押してくれるでしょう。
なお、迷惑バイアスを解消する方法については、後の「ワクチン」で説明しますので、今のところは、「へ~ 自分も含めて迷惑バイアスに陥ってしまうんだなあ」と理解できれば100点です!
ダメな自分を過剰に隠したい
私含めて皆さんの心の中には、「環境(他人やチーム)から「捨てられる」ことへの根源的恐怖」が存在します。
ですから、ちょっとでも自分のダメなところを見せると、このチームから排斥されるのでは……
という客観的に見るとありえない恐怖心に苛まれることがあります。
そして、自分の(言葉にならないものも含む)悩みや仕事の失敗について、周りにヘルプを求めることが遅れてしまいます。
もちろん、ダメな自分を隠さずにガンガンヘルプを求めるのがチームにとって、そして何より自分の心にとってベストであるということは分かっていてもなかなかできませんよね……
ですので、このタイミングでは、「私含めてみんなダメな自分を過剰に隠したくなるんだなあ まあ、ぼちぼち周りに頼れるようになっていくか」と思ってくださいね。
おわりに
今回は、手軽に導入できるZ世代社員の痛み予防法「ワクチン」について解説しました。
ワクチンには、痛みを最低限予防したり、重症化を防いだりする効果があります。
これだけでも大きな成果と言えるでしょう。
しかし、冒頭でもお伝えしたように、これだけでは痛みの根本的な解決にはなりません。
次回以降は、痛みを根本から予防し、根治するためのより本質的な施策についてお話しします。キーワードは「青春」です。どうぞお楽しみに。
次回記事👇

なお、今回紹介した「ワクチン」についての詳しい解説や作り方は、研修にてワークを通してお伝えします。
是非、お声がけくださいませ。
研修参加者の方のお声
研修満足度:90点
ファッション系大手企業の方
コメント:モヤモヤを抱える前に予言を提示できるのが良いと思いました
社員の定着が課題だと思っていたので、組織でできる活動のアイデアで良かった
研修満足度:95点
建設系大手企業の方
コメント:
以下が大きな学びだった。
・悩みが出る前に予防を打っておくこと
・これまでは予防接種の案内で終わっていたが、多くの人に接種までするという考え方
・また、伴走の必要性
長澤講師の凄絶な実体験と、そこから根っこや道具理論は非常に興味深かったです。マイナス5点分は、長澤講師が時間を気にして話されていて、割愛した部分があると思うと、もっと聞きたかったなという願望です。
研修満足度:80点
大手IT企業の方
コメント:若手社員との接し方。特に、新入社員研修を担当しているメンバーが高齢化しているため、研修担当者の常識を見つめ直すきっかけに「ワクチン」を共有したい。
20点減の理由:とても貴重な内容でしたが情報量が多すぎました。
ワークの様子


研修の内容などについて、詳しくは下記の資料をご覧くださいませ。
また、読者アンケートにも協力いただけると幸いです!
(回答時間目安3分)