こんにちは! Z世代社員育成の専門家、長澤です。
長澤啓(Nagasawa kei)
東京大学経済学部卒。1997年生まれ。
大企業・大企業の組合幹部向けの研修(ダイジェスト動画)・コンサルティングで、「Z世代社員の定着と活躍」のコツについてお伝えしている。長澤の取り組みについて詳しくはコチラ。
不登校支援専門塾である「学習支援塾ビーンズ」の塾長/副代表も務める。
私は一部のZ世代社員が抱えるしんどさを「自己閉塞」と定義してお伝えしているのですが……(👇)

よく聞かれる疑問の一つに
「そもそも、どのくらいのZ世代社員が自己閉塞に陥っているのだろう?」
というものがあります。
今回は、この問いに対する私なりの見解をお伝えします。ただし、これはあくまで私が現場で感じていることや既存の断片的なデータに基づいた個人的な推測であるという点をご理解ください。
Z世代社員の「自己閉塞」、その割合は?
私の記事を以前から見てくださっている龍之介さんから、
はじめまして、龍之介と申します。
実に興味深いですね。世代のフィルターで見ると、問題・課題も結構違うもので、私としても勉強になりました。
Z世代と言っても全員が同じ行動をとるわけでもなく、従来型というか普通にやれている人も居て、他の世代に比べるとZ世代で多くなってきているということだと思います。実際には世代の中でどれくらいの割合が今回の記事のような行動をとるのでしょうか?
※一部略
※龍之介さんがおっしゃる「今回の記事のような行動」とはこちらの記事で紹介しています
※なお、龍之介さんのnoteアカウントはコチラ(👇)。人や組織について活発に発信されているので、是非ご覧ください!

さて、今回は龍之介さんのご質問へのお答えを記事にしてみたいと思います。
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私の体感に基づく感覚的な表現ではありますが、
以下のように推計しています。
- 20%:【しっかり元気】 何の問題もなく、活発に業務に取り組んでいる
- 30%:【まあまあ元気】 ハラスメントなどに配慮すれば、通常業務は問題なくこなせる
- 30%:【ちょっと自己閉塞】 関わり方を何度か間違えると、パフォーマンスが低下する恐れがある
- 20%:【がっつり自己閉塞】 少しの関わり方のミスでも、著しくパフォーマンスが低下する
(仕事柄、私の見方にはバイアスがかかっている可能性があり、「しっかり元気」と「まあまあ元気」の割合を体感よりも多く見積もっています。本心では両方合わせて20%程度ではないかと思っています。)
特に、「がっつり自己閉塞」に分類される層の割合が20%であるという推計についてなのですが……
- 20代社員のメンタル不調経験率が約20%で、これは全世代で最も高い数値です。
- 中学生の5人に1人が不登校または不登校傾向にあるというデータも存在します(ただし、10代の不登校データと現在の20代社員の状況を安易に結びつけることはできません)。
これらの点を踏まえると、
「がっつり自己閉塞」の割合は、
大きく的外れな数値ではないと考えています。
ちなみに、大学生時代の私は「ちょっと自己閉塞」に分類されるタイプだと思います。
とはいえ……
私の推計では、
今のZ世代社員の約半分は「元気」である
とも言えます。
これまでZ世代社員の「自己閉塞」について多く語ってきましたが、
半数のZ世代社員は元気であると考えているということも、
ぜひご理解いただければと思います。
(しかし、未来のZ世代社員である10代の状況を見ると、不登校や自殺者数が過去最多を更新し続けている現状があります。このままの割合が維持されるとは考えにくいのが実情です。)
上司がZ世代社員を誤解してしまう理由とは?
問題なのは、多くの管理職の方々が
「Z世代社員の8〜9割は元気だろう」
と考えてしまうことです(もちろん、そう思ってしまうのは無理もありません)。
これは、自己閉塞に陥っている一部のZ世代社員の「演技」が非常に巧妙であるためだと考えられます。
金沢大学の金間大介先生も指摘されていますが、彼らは一見すると「さわやかで若者らしい」雰囲気をまとっていることが多いのです。
参照:東洋経済オンライン「「Z世代が大人から信頼され過ぎて潰れる」訳」(金間大介)
実際に話してみると、
愛想が良く、
利発で、
何事にもやる気があるように見える。
だからこそ、上司は安心し、無意識のうちに少し負荷をかけすぎてしまうことがあります(上司側に悪意があるわけではありません)。
しかし、一見良い子に見えたZ世代社員が、
実は深い悩みを抱えており、
ある日突然、心身の不調を訴えてしまう……
というケースが多いように見えます。
これは、
彼らが「使用価値向上」(自分が組織に捨てられないように、あらゆる行動を最適化する 詳しくは👇)という行動パターンを持っている場合が多いからであると考えています。

10代以降の10年以上をかけて、
どのように振る舞えば大人からの評価が下がらないかを徹底的に観察し、分析し、実践してきた彼らの「演技力」を甘く見てはいけません。
(ただし、この他者への観察力こそが、彼らの秘めたるポテンシャルであり才能です。もし自己閉塞から抜け出すことができれば、彼らは組織にとってかけがえのない存在となるでしょう。)
もちろん、演技をすること自体が苦手で、上司(大人)の前で硬直してしまうZ世代社員もいるため、全員が皆、優れた演技力を持っているわけではないことも理解しておく必要があります。
まとめると、
一見元気に見えるZ世代社員であっても、安易に負荷をかけすぎたり、これまでの部下と同じようなコミュニケーションを取ったりするのは、少しだけ立ち止まって考える必要がある
ということです。
次回予告
次回(👇)は、さらにZ世代社員のタイプをざっくり4つに分類してご紹介していきます。

特に、
「ぱっと見は活発だけど実はデリケートなZ世代社員の特徴とポテンシャル」
「受け身で元気がないZ世代社員が、実は育てば非常に貴重な存在になる」
というテーマでお話しする予定です。
どうぞお楽しみに!
また、Z世代社員の離職防止や活躍に向けた各種サービス(研修・コンサルティング)も提供しておりますので、本記事最下部の問い合わせフォームから是非お声がけくださいませ。