【第4回】他人への完璧主義 ── Z世代社員のしんどさの“根っこ”とは?

学習支援塾ビーンズ
  • URLをコピーしました!

音声解説はコチラ

具体例から理解したい方は
コチラ

目次

はじめに

こんにちは。Z世代社員育成の専門家、長澤です。

本記事のキーワードは…

他人への完璧主義

です。

さて。自分の文章とはいえ、記事を書きながら「うっ」となることがあります。

なぜならば……

「自己閉塞ってこんな課題だ!」
「Z世代社員は自己閉塞に陥っている人が多いんだ!」

…と偉そうに書いてはいますが、

そもそも私自身(長澤)が自己閉塞に陥ることが多いから……。

クライアント様に価値提供する研修講師・コンサルタントとして、記事上では超然的(上から目線)な視点で客観的に淡々と書いていますが、
(実は!)Z世代である私自身も

いや~~ わかるなあ~ わかっていてもこういう行動とっちゃうよな~

という気持ちで一杯になりながら筆を進めています。

本記事の内容「他人への完璧主義」は特にそうです……
「長澤もしんどくなりながら書いているんだろうな~」と思いながら是非読んでくださいませ!(笑)

長澤啓(Nagasawa kei)
東京大学経済学部卒。1997年生まれ。
大企業・大企業の組合幹部向けの研修(ダイジェスト動画)・コンサルティングで、「Z世代社員の定着と活躍」のコツについてお伝えしている。長澤の取り組みについて詳しくはコチラ
不登校支援専門塾である「学習支援塾ビーンズ」の塾長/副代表も務める。

↓↓前回の記事↓↓

あわせて読みたい
【第3回】デリケートなZ世代社員の行動を整理する(分類編) ─ Z世代社員のしんどさの“根っこ”とは? 音声解説はコチラ具体例から理解したい方はコチラ 今回はデリケートなZ世代社員がとる様々な行動を4つに分類するための「2つの軸」(↓)について解説します。 自発的...

↓↓本シリーズの記事のnoteまとめ↓↓

↓↓併せて読んでいただきたい記事↓↓

あわせて読みたい
デリケートなZ世代社員こそ組織に必要であるという話 ~やわら人材とは何か? 音声解説はコチラ 【はじめに】 こんにちは。Z世代社員育成の専門家、長澤です👓。 長澤啓(Nagasawa kei)東京大学経済学部卒。1997年生まれ。大企業・大企業...

支配(他人への完璧主義が分類される行動タイプ)

学習支援塾ビーンズ

「使用サイクル志向」かつ「他人を道具扱い」の行動類型は「支配」です。

支配に分類される行動は以下の通りです。

他人への完璧主義

学習支援塾ビーンズ

上図についての復習は↓↓

あわせて読みたい
【第2回】自分も他人も「道具扱い」!? ── Z世代社員のしんどさの“根っこ”とは? 具体例から理解したい方はコチラ 【はじめに】 前回の記事(↓)では、Z世代社員の多くが陥っている「自己閉塞」という課題について解説しました。 https://youth-co-lab...

物である他人が自分に便益を提供し続け=使用サイクルを周回し続け、
関係解消に陥らずに済むようする行動です。

「支配」とはそもそも「他人を道具扱い」ですので、
自分が使用サイクルを周回するのではなく、
相手に使用サイクルを周回してもらうのがポイントです。

ゆえに……

「自分と接する他人(自分にとっての道具)は、絶対に自分にとって最高の便益を提供する物であるべし!」

「その条件に当てはまらない人間とは関わらない!」

とこだわり続けます。

具体的には……

  • ~~な話の聞き方で、~~な雰囲気で、~~な経歴の同僚/上司にしか本音を言いたくない!
  • ~~のスキルを持っていて、自分と同じくらいの熱意を持っていて、自分と同じノリの、~~な人間としかチームを組みたくない

といった感じです。

数年前から、若い世代を中心に「蛙化現象」と呼ばれる概念が流布しています。
蛙化現象とは「相手のちょっとした行為が嫌で一気に好意が冷める」現象のことですが、
これも、「他人への完璧主義」がベースにあると考えています。

補足として、学習支援塾ビーンズで見られる、
生徒がとる他人への完璧主義行動を紹介します。
(不登校の10代の心理構造と自己閉塞に陥っているZ世代社員が抱える心理構造は地続きです)

・自分の授業を担当していいのは、早慶レベル以上の大学を一般入試で合格しており、かつ自分よりも5歳以上年上で、包容力がある男性/女性(指定が入る)講師のみであると強固に主張する
(高校生)

・自分の授業を担当していいのは、自分の好きなカルチャー(ゲームやアニメやアイドルや写真撮影など)について無制限に聞いてくれ、かつ自分のアニメやアイドルの知識/自分のゲームや写真撮影の腕前を完全に把握したうえで賞賛し、アドバイスもくれる講師のみであると主張する
(高校生)

・同じアーティストの同じ曲の同じパートが好きな子じゃないと友達になれないと主張する
(高校生)

なお、他人への完璧主義行動をとる自己閉塞人の多くは、

次回の記事(↓)で紹介される「自発的関係解消行動」もとる場合が多いです。

自分が期待する条件を満たしていない他人と関わるくらいなら、無視もしくは切り捨てなどの関係解消を自分からやってしまった方がいいのです。

また、他人への完璧主義の亜種として、「ピュアなコミュニケーションへの執着」も挙げられます。
これは、

  • 立場
  • メソッド化されたコミュニケーション(研修などで学んだテクニックを用いたコーチングなど)

などの人工的なものを一切排除して、
自分をまるごと愛して欲しいという欲求がベースになっています。

気持ちはわかりますよね……

具体的には、

  • 上司という立場を超えて、自分をまるごと愛して欲しい
  • 何かしらのノウハウや人工的に作られたコミュニケーションの場を通じずに自分を愛して欲しい

といった言動という形で表出します。

そもそも、あらゆるコミュニケーション自体が人工的なものですし、
相手を自分の立場を完全に超えて愛することなど不可能なのですが、
自己閉塞人はどうしてもピュアなコミュニケーションを求めてしまうのです。

完全制御(これは社会人のZ世代社員にはあまり見られないので、あくまで補足)

相手が自分にとって心地の良い行動をとるように求める・もしくはそのような行動をとるという前提で振る舞う行動です。

悩める10代であり、自己閉塞状態である学習支援塾ビーンズの生徒がとる「完全制御行動」の例を挙げます。
(どの事例も「こういったことはよくある」という事例です)

・自分が買いたいもの(高級バッグや高額な衣服など)を買うよう保護者に強い、もし思い通りに行かなかった場合、泣き叫びながら親を罵倒してしまう(高校生)

・年下と同学年は自分に気をつかってくれない(自分が気をつかわないといけない)から、少なくとも2学年以上先輩の生徒が参加する企画やゲーム大会にしか参加しないと強く主張する
(中学生)

・自分の好きな話を長時間にわたって続ける。相手の反応を全く気にする素振りをみせずに話し続けるが、もし相手がつまらなそうにしていた場合、相手を攻撃するか、もしくは自ら関係外を選ぶ。
(特定できないほど多くの生徒が該当 というか、筆者は今でもこの傾向が強い……)

なお、生徒の例を挙げましたが、完全制御行動をとることが多いのはむしろ保護者です。

  • 受験を無理にさせる行為
  • 自分の規範を子どもに押し付ける行為

などが完全制御にあたります。

他人は自分にとって心地良い振る舞いをすべきorして当然であるという前提、
つまり相手は「自分にとっての心地良さ(便益)を引き出す対象」であるという風に考えてしまっているがゆえの行動であると捉えると分かりやすいでしょう。

なお、本人としては仕方なくこのような行動をとっていることを絶対に忘れてはいけません。

完全制御の行動をとる人の多くが、
過去に親・学校の同世代・教師・上司などから完全制御の行動をとられた経験が強烈に存在しています(※)。

それゆえに、自身が完全制御の行動を取られていない場合は、逆に自分が他人を完全制御するという選択肢しかないのです。


1例目に挙げた「高級バッグや衣料などを買うよう保護者に強いる」高校生は、まさに幼少期に親から体罰を含む度を超えた躾をうけていました。
2例目と3例目の生徒は、教員や学校の同世代から、周りに対して極限まで気をつかわねばならないという完全制御行動的な扱いを(クラスの雰囲気や過度な叱責などという形で)受けたがゆえに、「相手を物として完全制御する」という関わり方しかできなくなっているのです。つまり、2例目と3例目の生徒は、教員や学校の同世代からの「お前が相手に気をつかわなければ関係解消するぞ」という完全制御行動的なメッセージをうけて、その結果、自分も「相手を物として完全制御しても良い」という解釈に至ったのです。

さいごに(次回予告)

ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回は「恥回避」に分類される行動について解説していきます。

学習支援塾ビーンズ

恥回避にカテゴライズされる行動は何と言っても

「私がいると周りに迷惑なので、退職します」

ですね……
Z世代社員が退職する際の発言のあるあるです……

次回は上記の発言に至るメカニズムを解説していきます。

↓↓↓次回記事↓↓↓

また、Z世代社員の離職防止や活躍に向けた各種サービス(研修・コンサルティング)も提供しておりますので、本記事最下部の問い合わせフォームから是非お声がけくださいませ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

長澤 啓のアバター 長澤 啓 ワカサポ編集長/悩める20代社員育成の専門家
目次