【第1回】Z世代社員のしんどさの“根っこ”とは?──「自己閉塞」という心理構造をひもとく

学習支援塾ビーンズ
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具体例から理解したい方は
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目次

はじめに:Z世代の“デリケートさ”の正体を探る全9回シリーズ、始まります

こんにちは。Z世代社員育成の専門家、長澤です。

長澤啓(Nagasawa kei)

東京大学経済学部卒。1997年生まれ。

大企業・大企業の組合幹部向けの研修(ダイジェスト動画)・コンサルティングで、「Z世代社員の定着と活躍」のコツについてお伝えしている。長澤の取り組みについて詳しくはコチラ

不登校支援専門塾である「学習支援塾ビーンズ」の塾長/副代表も務める。

前回は「デリケートなZ世代社員だけが持つポテンシャルこそが今後の組織に必要なものである」というテーマでした。

今回から全9回シリーズでお届けするのは、「デリケートなZ世代社員の心理構造を深掘りする」というテーマです。

↓↓本シリーズの記事のnoteまとめ↓↓

ここ最近、管理職や人事の方からこんな声をよく聞きます。

  • 「最近の若手ってなんか扱いが難しい」
  • 「ちょっと注意しただけで凹んだり、離職につながってしまったりする」
  • 「でも、彼らには確かに可能性があるような気もする…」

そんな“扱いづらいけどポテンシャルはある”Z世代のしんどさ。その「根っこ」に何があるのかを、心理的な構造から紐解いていきます。

今回のテーマは、第1回目にふさわしく、ズバリ

「子ども・若者(Z世代社員)のしんどさの“根っこ”にあるもの」

これまで私は、不登校支援(詳しくは下記の動画)や若者支援の現場に10年以上関わりながら、
企業の上司世代からも若手社員に関するご相談を受けてきました。

その中で気づいたことがあります。

それは──
不登校の10代とZ世代社員が抱える“しんどさ”は、驚くほど似ているということ。

今回はその共通点の正体である「自己閉塞」という概念を紹介し、Z世代社員の離職防止や活躍支援の第一歩を踏み出すための土台をつくっていきたいと思います。

自己閉塞とはなにか?

私がZ世代社員のしんどさの根っこにあると考えている心理構造、それが

自己閉塞

というものです。

これが私や私の仲間たちが作り上げた独自理論の土台となる独自概念です。

自己閉塞とは、一言で言うとこういう状態です。

「自分も環境も嫌いor苦手。だから自分を守ることで精一杯になり、他者とつながれず孤独を深め、さらに自分と環境を嫌いになっていく状態」

もっと噛み砕くと…

「自分のことで頭がいっぱいになってしまっていて、その結果、他人とのつながりや自己肯定感を失っている状態」

自己閉塞状態にあるZ世代社員には、2つの共通した特徴があります。

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特徴①:自分が嫌い(=自己否定感)

「私はどうせ大したことない」「人と比べて劣っている」「期待されるのが怖い」

こうした思考は、裏を返すと「他人に認められたい」「愛されたい」という欲求の裏返しでもあります。

特徴②:環境が嫌い(=社会や組織への不信感)

環境=他者、チーム、上司、会社、社会全体。

こういった“外側”に対して、「どうせ分かってもらえない」「変わるわけがない」と諦めや不信感を抱いている状態です。

この2つが重なったとき、人はこう考えるようになります。

  • 「自分なんかが環境に関わっても、嫌われるだけだ」
  • 「どうせ環境は変わらないし、関わっても無駄」
  • 「だから、関わるのはやめよう。傷つかないために」

こうした思考が、自己閉塞という状態を固定化していきます。

自己閉塞が生む「負のループ」

自己閉塞に陥ったZ世代社員は、自分を守るための行動に出るようになります。私はこれを「自己閉塞行動」と呼んでいます。

自己閉塞行動の具体例

  • できるだけ目立たないように振る舞う
  • 失敗を恐れて指示待ちになる
  • 本音を絶対に出さない
  • 信頼を犠牲にしてでも逃げる

これらの行動が守ろうとしているのは、「自分の短期的な自尊心」です。
「これ以上傷つきたくない」「責められたくない」「期待に応えられない自分を見られたくない」

でも、この“守り”の姿勢は、長期的にはむしろ自分を苦しめることになります。
なぜなら、環境とつながる機会を失い、「やっぱり自分は愛されない」と感じてしまうから。

自己閉塞の負のスパイラル

自分も環境も嫌いになる
傷つかないように自己閉塞行動をとる
他者や組織からの信頼・共感が得られなくなる
「やっぱり自分はダメだ」「やっぱり環境は冷たい」と再確認
さらに閉じこもる

こうして、自己閉塞のループが強化されてしまうのです。

自己閉塞以外のタイプも存在する

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自己閉塞以外のパターンも存在します。
「自分が好きかどうか」「環境が好きかどうか」で以下のように4分類することができます。

① 自己開放(理想形)

  • 自分も環境も好き・信頼できる
  • 他者とつながることに前向き
  • 愛される感覚と自己肯定感が循環する

② 自己閉鎖(少数派)

  • 自分は好き/環境は嫌い
  • 「人と関わらなくても、自分1人で楽しくやれるからそれでいい」タイプ
  • 他者とのつながりに価値を感じていないが、内面では安定している

③ 自己犠牲(少数派)

  • 自分は嫌い/環境は好き
  • 自分に自信はないが、人のためなら動ける
  • 他者のために尽くすが、自分を消耗してしまいがち(社会起業家に多い)

④ 自己閉塞(今回のメイン)

  • 自分も嫌い/環境も嫌い
  • 孤独感と不信感に包まれ、自分を守ることにエネルギーを費やす
  • 関係性を築けず、潜在能力を発揮できない

自己閉塞を脱するために

自己閉塞に陥っているZ世代社員の多くは、「自分を守ることで精一杯」な状態です。
だからこそ、急に「主体性を持て」「もっと積極的に関わってこい」と言われても、動けません。

では、どうすればこの自己閉塞を乗り越えることができるのか。

それにはまず、彼らの“内側の世界観”を丁寧に理解することが必要です。

  • どんな風に社会を見ているのか?
  • どんな風に自分の価値を捉えているのか?
  • なぜ「他者と深く関わるより、自分を守る」を選んでしまうのか?

この深層を理解しない限り、的はずれなアプローチや叱責になってしまい、逆効果になります。

次回予告:Z世代の“内なる世界”へ

次回の記事では、Z世代社員の「心の底にある世界観」を紐解いていきます。
ちょっと哲学的な内容にも踏み込みますが、しんどさの“根っこ”をさらに深掘りする大切なパートです。

次回記事は👇

ぜひお楽しみに。

おわりに

Z世代社員のしんどさは、単なる“繊細さ”や“甘え”ではありません。
そこには奥深い心理構造があり、適切に理解することで、彼らのポテンシャルを引き出すことができます。

彼らの“デリケートさ”を理解することは、組織をアップデートする鍵にもなります。このシリーズを通じて、一緒にその道筋を探っていきましょう。

また、Z世代社員の離職防止や活躍に向けた各種サービス(研修・コンサルティング)も提供しておりますので、下記資料の下の問い合わせフォームから是非お声がけくださいませ。

また、読者アンケートにも協力いただけますと幸いです!
(回答時間目安3分)

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この記事を書いた人

長澤 啓のアバター 長澤 啓 ワカサポ編集長/悩める20代社員育成の専門家
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